経理業務はなぜ合理化されてこなかったのか?
1.「簿記」「仕訳」が経理業務を聖域化させてしまった。
会社が取引した結果が請求書や領収書などの書類になって経理部へまわっていきます。
経理はそれらの書類を見ながら、取引を簿記のルールに従って、科目ごとに区分して集計して行きます。
この「簿記」という言葉や「借方・貸方」と聞いただけで、一般の人は頭が痛くなります。
そのため経理以外の人は、経理の仕事を「面倒な仕事」と考えており、それ以上知ろうとしません。
また、多くの中小企業では、一般社員に会社の業績は公開されていません。
会社がどの程度儲けていて、役員の給料がいくらなのかなどは、余り知られたくないからです。
こうして経理の仕事はだれからも文句の言われない聖域となっていったのです。
check 経理の仕事に口を出す人はいますか?
2.経理マンのノウハウは合理化の障害
優秀なベテラン社員といえども、自分の会社以外でどうやって処理しているかを知りません。
自分が経験した数少ない経理処理の仕方を全てだと考えている人がほとんどなのです。
なかには仕事を作業として行っているために、
「なぜその仕事をしているのか?」
と質問しても
「今までそうしてきたから」
「前任者がそうやっていたから」
という回答しか返ってこないこともあります。
そのような仕事の目的を理解していない人は
’何をやめてよいのか’
’何をしなくてはならないのか’
を自分で判断することができません。
check 今の仕事のやり方がベストだと自信がありますか?
3.会計事務所に理想的なやり方を当てはめさせられている
会計事務所は完璧な経理処理を中小企業にも要求します。
そこには、ちゃんとやっておかないと税務調査でつらい思いをするという恐怖感が会社にも会計事務所にもあるからなのです。
もちろん会計事務所は正しいことを指導しています。
確かに完璧な経理処理を行えばミスや不正は減りますがその分管理コストがかかりますので費用対効果を考えて会社の身の丈にあった経理処理を行うことが望ましいはずです。
また、どこの会社も理想的な経理処理をしてくれると会計事務所はイレギュラーな対応をしなくて済みますので、仕事がやりやすいという会計事務所側の事情があることも事実です。
check 会計事務所のやり方を丸呑みでいいんですか?